[コメント] 青いパパイヤの香り(1993/仏=ベトナム)
常夏の国の夏の想い出…
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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陥落前のサイゴン、あるいは戦争前のヴェトナムの小さな物語。これは緯度の高い国へと移住した監督が、太陽が天高く舞う故郷を想い作り上げた、亡き祖国へのレクイエムだ。
そこには空調がなく、蛍光灯がなく、余計なセリフがなく…
風があり、光があり、水がある。
快適さを得るかわりに風を捨て、ささやかな灯火を得るかわりに闇を捨て、そしてそれらの道具を得るかわりに時間をも切り売りし、ヒトは一体何を得たのだろうか?
若いパパイヤを千切りにしたサラダは、ゆったりと流れる時間の象徴であり、実の中に潜む小さな丸状の種子は、世界を大変貌させた消費社会へのアンチテーゼである。
夢を見るように古き良き祖国を想い撮り上げたこのちっぽけな映画は、ただ美しいだけの映画では…断じて…ない。
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