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[コメント] 雲のむこう、約束の場所(2004/日)

新海誠監督の熱意と、作品でやろうとしている事は非常に好みではあるのだけど、それ以上に面白くない。1シーンを演出する力はあっても1時間半ではまだ力不足。 2005年2月21日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ほしのこえ』を見れば、この監督の良い所が見えると同時に限界も見えたのだけど、要するに、この監督はハッタリがメチャクチャ上手い。

漫画「最終兵器彼女」もそうだと思うのだけど、メチャクチャな話でこじ付けの展開でしかないのだけど、個々のシーンを突出させる事が上手いから、結果として作品を印象に残す事が出来るのだと思う。で、俺は「最終兵器彼女」は大して好きじゃないのだけど、その点だけは評価すると同時に、その点を激しく嫌う。

俺の推測なんだけど、極端な話、観客なんて割と扇動し易い物で、ある一定のシチュエーションにある一定の音楽や相応の台詞等を垂れ流せば、観客は相応に「感動」してくれる物だと思う。『アルマゲドン』が中身すっからかんのクセに泣ける(泣いたの俺だけ?)のはそのせいだと思う。

ほしのこえ』で言えば、携帯電話と言うアイテムを有効利用しているだけでストーリーは膨らんで居ない。ストーリーが描けて居ない。本作では、1時間半と言う尺の為、その下手糞さが露呈してしまった、新海誠監督。「一人で作った伝説」と言う根性と熱意のお方なので、この先どうにか凄い映画撮ってくれるとは思うのだけど、本作は正直言って駄作の類に片足を突っ込んでいる様に思えて仕方が無い。

点滅する蛍光灯、ストーブ、古びた倉庫、飛行機製作、青空、海、海の向こうの塔、青春時代の約束、戦時下、三角関係、コレだけ客の想像力と感傷を刺激するアイテムをそろえれば、そりゃそれなりの物は出来上がるさ。絵もそれなりに拘ってるみたいだし。

でも、それで出来たモンはハッタリでしかない。そんな浅はかな感動は長くは続かない。ハッタリは種が明かされてしまえば後はピエロでしかないんだぜ。

初めて新海監督作品を見た時は、確かにそのハッタリの上手さに感心した。そのハッタリが良い方向に作用していたから。でも本作は、そのハッタリに終始するあまり、暴走して勝手に自滅している。見てらんない。

天門さんの音楽は中々良いと思う。スケールのデカイ悲壮感がたまらなくいい。ただ、編集がぶつ切りで、一番盛り上がっている最中にイキナリ次のシーンに飛んでしまうので、せっかくの音楽も台無し。

特に俺は、飛行機が飛び立ち、海面すれすれを低空飛行するシーンが、作品中唯一好きなんだが、あのシーンですら、一番いい所で切れちゃうんだもん。

きっとどこか長編映画的体内時計がズレてるんだね、新海誠監督は。短編は上手いと思うんだけどね。

あ、でもね、いくらハッタリだと言っても、何だ?あのキャラ達の古臭い安っぽい愚直な台詞や行動や感情表現は。見ててこっちが赤くなっちゃったよ。恥ずかしい。

今時こんな古臭い表現使う人居るのかよ!?って思わず笑っちゃったシーン多数。

(評価:★2)

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