「馬鹿馬鹿しい映画」とは言っても、『八十日間世界一周』に比べたら遥かに面白い作品だと思う。

冒険に出る動機も『八十日〜』とは違ったもので、そして何よりも今作には「夢」がたくさん詰まっている。

大空を飛びたいという夢、偉大なる発明品を残したいという夢、故郷を平和にしたいという夢、画家として大成したいという夢。その夢を乗せて気球は飛ぶ。列車は走る。列車内でパスパルトゥが伝説を子供達に話してあげるシーンの、なんと雄々しく、夢に満ち溢れていることか。このメッセージをジャッキーは、世界中の子供達に伝えたいのだ。

また、コメディ映画としても面白い。その上、古き佳き昔のジャッキー映画独特のユーモアが作品に巧く融合している。決してジャッキーの独りよがり的ユーモアではなく、フォッグやマヌケな警部やシュワちゃんら、他のキャストと見事にマッチングしたコメディ。

ジャッキーのアクションも、昔ほどではないかもしれないけれど、健在だ。

その上サモ・ハンとスクリーン上で魅せるカンフーアクション満載。この二人のカンフーアクションを、どれだけ観たかったことか。このカンフーを見ることが出来ただけでも感謝したい。

（それからシュワちゃん、あなた、これは演技じゃなくて私生活そのまんま素じゃないですか）