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[コメント] 狐の呉れた赤ん坊(1945/日)

これは敗戦後の邦画を代表する傑作だろう。飲み屋の瀬戸物が割れる音とともに字幕が崩れる粋なオープニングからラストの大井川の俯瞰ショットまで映画を作る喜びに溢れている。パンニング、トラベリング、ピント送り、フラッシュバック等技巧的にも凝りに凝った作りだが、それぞれ実に適確に用いられており驚かされる。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 そして何よりも阪東妻三郎という類い稀なる映画俳優の器量の大きさ。純粋に彼の演技(というか存在)に感動し、恥ずかしながら中盤からは泣きっぱなしになってしまった。さらにこれは意図したものとは思えないが、この映画が持つ「階級意識」や「天分」に関するテーマ性に対しても、彼の演技が批評的に機能し、作品としてのバランスを保っているとさえ思えてくる。簡単に云うと「大名の子供は生まれつき徳がある」ともとれる描写の嫌らしさ(現代的な感覚で云えば唾棄すべきストーリ上の欠陥)をも阪妻の演技が包み込み帳消しにする。映画における「本当のしあわせ」を考えさせられる。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)tredair KEI[*] 水那岐[*] ina ぽんしゅう[*]

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