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[あらすじ] オペラ座の怪人(2004/米=英)

1919年、パリ。今や廃墟となったオペラ座の劇場跡で、ひっそりと開かれていたオークションがあった。参加していた老貴族・シャニュイ子爵は、次々と競りにかけられるゆかりの品々を見ながら思い出していた。1870年代、栄華を誇ったオペラ座を舞台に起きた、若きプリマドンナ・クリスティーヌ(エミー・ロッサム)と幼なじみの青年貴族・ラウル(パトリック・ウィルソン)、そしてオペラ座に出没する怪人・ファントム(ジェラード・バトラー)の哀しい物語を…。[143分/カラー/シネマスコープ]
Yasu

1986年の初演以来、ロンドンやニューヨーク・ブロードウェイをはじめとする世界20か国で8000万人以上の観客を動員し、映画・演劇を通して「世界で最も売れた作品」とされる同名ミュージカルを、作曲者のアンドリュー・ロイド・ウェバーが自らプロデューサーとなって映画化。

原作は1911年に出版されたガストン・ルルーによる小説だが、怪奇色が強い小説版や以前の映画化作品に比べ、ロイド・ウェバーによる舞台版はロマンスの要素が前面に押し出されており、その映画化である本作も同様の路線に従っている。

本来、舞台版のクリスティーヌ役は、当時ロイド・ウェバーの妻であったサラ・ブライトマンのために書かれており(ラブストーリー色が強められたのもこれが理由の一つ)、1980年代後半に初めて映画化の企画が出た当初も彼女が主演の予定であったが、1990年にロイド・ウェバーとブライトマンが離婚したため、企画自体が棚上げになっていた。

その企画は2002年に復活し、映画版のキャストを新たに探すことから製作が再開した。キャスティングに当たってのロイド・ウェバーの条件は「俳優は吹き替えなしで歌えること」だけだったという。その結果、オペラ・ミュージカルの経験がないミニー・ドライヴァーを除く出演者全員が、自らの歌声を披露している(ドライヴァーもエンドロールで流れる主題歌では自分で歌っている)。とりわけファントム役のジェラード・バトラーは、普通に話すセリフは8行だけで、あとは全て歌である。

ちなみに主演のジェラード・バトラーエミー・ロッサムのみならず、監督に抜擢されたジョエル・シュマッカーもそれまでに舞台版を観たことがなかったが、ロイド・ウェバーは「そのほうが舞台版にとらわれない、オリジナルな『オペラ座の怪人』になる」として意に介さなかったということである。

オペラ座のセット製作には、ロンドン舞台版の美術スタッフが参加し、スワロフスキーの提供による豪華なシャンデリア(重さ2.2トン、130万ドル相当)も話題となった。

(評価:★4)

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