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[コメント] ジャンヌ・ダルク(1999/仏)

ジャンヌ・ダルク小咄→

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







●複数のジャンヌ・ダルク

1,正統派。

映画で描かれていたもの。片田舎から突然、神の啓示を受けたとかいう少女が現れて、あれよあれよという間に周囲を惹きつけ、フランス軍の精神的象徴として大活躍。でも、人気者すぎて厄介払いされた。

2,計略。

どうしようもなくなったフランス側は、精神論にでるしかなく、国全体のモチベーションをあげるために、神の使いを仕立て上げた。戦術的な部分はまわりがフォロー。で、使い捨て。

3,私生児。

シャルル七世の母イザボー(ヨランド・ダラゴン/フェイ・ダナウェイじゃないよ、この人はシャルル七世の奥さんの母)とシャルル六世の弟ルイ・ドルレアン(この人が結構重要人物で、ブルゴーニュ派ともめて暗殺された)の不義の子だっていう話。実際、二人の間には男児があり、生後数日で死んだという記録があるらしい。で、実際は女児で、田舎に隠しつつ必要な教育をしておいた。

これは無理があるらしい。確かに、ジャンヌが生まれた時点でフランスは戦力で勝っていても、やる気がなかった。イギリスは貧乏で、勝てば領土がもらえるけど、フランスは勝っても何ももらえないし、各領主が結構自立していた。元寇の時の日本みたいなもの。だから、精神的象徴/ヒーローとなる人間を仕立て上げるという考えは可能かもしれないが、私生児が恥という慣習の無かった当時にわざわざ死んだことにしてまでそうすることは、かなり無理がある。しかも、ジャンヌが宮廷にやってきた当時、イザボーは追放されており、実権はヨランドが握っていた。だからジャンヌの存在を知っているか疑問。知らなかったら状況は1と同じ。

でも、現代において宗教色を廃して映画的に仕上げるなら、2と3の混合案が面白そう。イザボーがジャンヌを仕込んでおいて、それを知ったヨランドが利用する。実際、ジャンヌは戦争のこととか結構勉強してて、そこそこやれる。で、戴冠すませれば、ヨランドにとっては与しやすいシャルル七世を残して、ジャンヌは捨てる。

それに、シャルル七世と初めて合うときに一発で見つけたことや、二人きりで話した秘密のことなんかも、こう考えるとつじつまが合う。

まぁ、実際にはいろいろあってあり得ない話らしいけど、どうせ映画なんだからこれぐらいが面白いと思うんだけどなぁ。

●ジル・ド・レ

晩年、かなりのワルになったらしい。ジャンヌ話では準主役並みの美味しい役どころなのにね。

●ルックス

あまりカンバシくなかったらしい。だから男に手を出されなかったとか(笑。でも、逆に今見るとすごい美人だったりして。

(評価:★3)

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