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[コメント] マレーナ(2000/米=伊)

思春期は性に目覚めるだけの時期ではない。マレーナの魅力はその容姿だけではない。単なる思春期もの映画とは大きく一線を画した作品。
のぶれば

思春期の性を描いた作品なんて幾らでも在る。そして多くの場合、それらは思春期にある人物、或いはその相手を中心に世界が回っている。その展開が喜劇的であれ、悲劇的あれ、私にはどうも嘘っぽく感じられ、あまり好きにはなれなかった。

しかし、この作品はそれらと明らかに一線を画している。時代と周囲の目に翻弄される中で、それでも精一杯生きていこうとする彼等の姿に注視してしまうのだ。

「思春期の思い出は淡く美しく感じるかもしれないが、しかし事実はそんなに奇麗なものではない…」それを正面から描いたこの作品は、「あの頃は良かった」「今の若者は…」が口癖になっている大人達、「大人は汚い」「自分こそが正しい」と感じ始めている少年少女等に、良くも悪くも、「ガキの話」や「大人の身勝手」では終わらない、リアルな少年や大人の事情を見せてくれる。気持ち良く晴れた街の上を飛ぶ戦闘機や青空に立ち上る火炎、町を行き交う人々や噂の変遷、ラジオや音楽の変化などと共に。

マレーナの魅力はその容姿だけではない。時代を強く生き抜く姿こそ最大の魅力なのだ。

思春期は性に目覚めるだけの時期ではない。時代を生き抜く勇気に目覚める時期でもあるのだ。

そのテーマがこの作品を魅力的にしていると感じて候。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)緑雨[*] わっこ sawa:38[*] ガラマサどん m[*] アルシュ[*] ハム[*] フランチェスコ[*] Kavalier[*]

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