ラスト近く、アパート中の住人が皆飛び出してきそうな激しい喧噪のシーンから、遠くを走る車の音が、かすかに聞こえてきそうな静寂のシーンへの移り変わり．．．その静けさの中での犯人との初めての対峙など、場面転換も見事でした。

見ている観客と主人公ジェフ（ジェームス・スチュアート）の状況、シチュエーションがほぼ等しく話が進行していくので、今まで対岸の火事のごとく見てきた犯人の一連の動きが、１８０度回って、ジェフの背後に移ったとき、まるで見ている自分の背後に犯人が迫るが如くの、主人公との妙な一体感を憶えました。 この辺りは、やはりカメラの位置をほぼ固定して（ジェフの部屋から出ないよう）、ストーリー展開していったのが大きかったのでは、と思います。

ラスト・シーン、ジェフが、また覗き見をしないよう、リサ（グレース・ケリー）が側に付き添っていて、尚かつジェフの車椅子は窓を後ろに配置されているなど、絵的にも面白く、アパートの他の住民は、相変わらず皆それぞれの生活を送っているなど、日常の中の非日常的であった数日間を上手く切り抜いて描かれたようで、幕切れも良かったです。