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[コメント] ダーティハリー(1971/米)

剥き出しのナイフを喉元に突きつけられるかのような印象がするのは,ハリーのキャラクターのせいばかりではなく,実は重く深い内容のためだと思う。シリーズ中の最高傑作。
ワトニイ

**ネタバレ注意**
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このシリーズは大好きだが,回を重ねるごとにパワーダウンしている感が否めない。そんな中で,やはりこの第1作はすばらしい出来だと思う。

この作品は,警察組織内のアウトロー的存在であるハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)の活躍を描きながら,同時に「正義とは何か」「法で裁けない人間は誰が裁くのか」「容疑者の人権はどこまで守られるべきか」などの問題を痛烈に突きつけてくる。 アウトロー刑事の活躍を描いた単純な映画ではなく,シビアな現実を見据えたアクション物というか,社会派ドラマと呼ぶにふさわしい重い内容を盛り込みながら,それでいて優れたアクション物,格好いいヒーロー物になっているところがすごいと思う。

ハリーも,よくあるアウトロー刑事とは一味もふた味も違うように描かれていて,それは特に,法で裁けない偏執狂的な殺人者と撃ち合いをして射殺したあげく警察バッチを投げ捨ててしまう(はじめから辞職を覚悟して撃ったのだろう)という印象的なラストに象徴されている。

ハリーの活躍は観ていて本当に胸がスッとするが,そんな格好よさも,実はかなり危ういところで成り立っていて,一歩間違えば独善的な暴走に陥る危険性があるのだという面が色濃く出ていたように思う。ハリーの対極に描かれていたのが,現代の法であり,マスコミだろう。

こうした面は,第2作では形を変えて残ったものの,第3作以降は薄れてしまう(まあ,監督も別の人なのですが)。それはそれで楽しめるが,やはりこのシリーズは,この第1作だろう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)たわば[*] ジャイアント白田[*] Happy

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