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[コメント] チャイナタウン(1974/米)

ジャック・ニコルソンは映画界の江夏豊だ。彼は作品に恵まれているのか?それとも作品を押し上げているのか?
ペペロンチーノ

役者には「代表作」と呼ばれるものがある。「あの役者と言えばあの作品」というのがあって、その時「あのシーン」というのが伴う場合が多い。もっとも「あのシーン」は映画そのものよりもポスターやビデオ等のパッケージによる“記憶”となっている場合が多いのだが。 分かりやすく言えば、「えーっと、あの役者何て名前だっけ?ほら、あの映画の。頭に浮かんではいるんだよなあ」という時、思い浮かんでいるのは1つのシーンやポスター、パッケージの画像だったりする。そんな時、ジャック・ニコルソンほど登場率の高い役者はいない。

最も印象的なのは『シャイニング』のあの顔。あるいは『バットマン』のジョーカー。人によっては『カッコーの巣の上で』『郵便配達は二度ベルを鳴らす』なんて人もいるかもしれない。だが私は本作の“鼻絆創膏ニコルソン”も非常に印象深いのだ。 「個性派だからだ」「やりすぎだからだ」という意見もあろうが、では同様にデ・ニーロで何が思い浮かぶか?と問われれば、実はとっさに思い付くのは『タクシードライバー』くらいしかない。『レイジング・ブル』なんかもあるが、それは同一の監督、いわば監督との“コンビ”によるものであり、デ・ニーロとスコセッシ、あるいは三船と黒澤等々、多くの場合、監督との“コンビ”によって「代表作」が生み出される場合が多い。カート・ラッセルとカーペンターしかりブルース・キャンベルとサム・ライミしかり。共同作業である映画は、気心の知れた面子で制作する場合が多いのだ。

ジャック・ニコルソン←これをクリックすれば分かることだが、実はニコルソンと多くコンビを組んだ監督というのはほとんどいない。最も多い監督は意外にもロジャー・コーマン(それも無名時代の日本未公開作品ばかり)だったりする。 (さらに興味深いことに、映画史上名だたる監督の「超代表作」はニコルソン出演作ではなかったりする。その最たる例が本作や『シャイニング』。)

何故“コンビ”が少ないのか、よほど扱いにくい役者なのかどうかは不明だが、それならとうの昔にホされてそうなもんだが、そうでもない。それどころか、ニコルソン一人で映画の質をワンランク上げたりもする。 これは私の勝手なイメージなのだが、ニコルソンは「一匹狼」なのではなかろうか。そう、「優勝請負人」と呼ばれ各球団を渡り歩いた江夏豊の様に。先発も抑えもこなした江夏同様、主役も脇役も関係なく“自分の映画”にしてしまう力量こそ“一匹狼ニコルソン”なのではなかろうか。

そう考えると、孤高の探偵ジェイク・ギテスほど、ニコルソンにふさわしい役柄はない。

(評価:★4)

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