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[コメント] 独立愚連隊西へ(1960/日)

日中戦争北支ものの代表作。永年保存に値する傑作。アジアへ堂々輸出すべき戦争映画だ。邦画でそんな感想を抱かせる作品は残念ながらとても少ないのだが、本作は誉れある例外である。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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中国兵のフューチャーの割合からして喜八作品のなかでもボリューム多く、よくしてくれた中谷一郎の跡を追って緩やかな坂の一本道を走る中国の孤児、これを見てフランキー堺の八路軍の大将は銃砲を空へ向けるよう命ずる。喜劇の何か理想的な和解があった。

戦死広報がされたのでいないことになっている愚連隊は、大いに娯楽化されているが水木しげるの体験談の通り。従軍慰安婦のピー屋にチマチョゴリの女が混じっている描写もあった。水野久美は逃亡しようとして射殺される。田村まゆみはほんの断片の出演。

息子の位置はどちらにするかは「服装教範」に書いてある、という指摘は大西巨人「神聖喜劇」の爆笑ネタでもあるが採用はどちらが早かっただろうか。原作とは別に、軍旗をなぜ守るのか判らなくなる話は駒田信二の短編「脱出」からとのこと。錦の御旗が佐藤允の腹巻になったと知ったら乃木将軍は憤死するに違いない。

リングワンダリング、環形彷徨(かんけいほうこう)の薀蓄が勉強になった。人が方向感覚を失い、無意識の内に円を描くように同一地点を彷徨い歩く事とのこと。フランキーが喜八作品に登場するのは本作と『ダイナマイトどんどん』のみ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)死ぬまでシネマ[*] 水那岐[*]

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