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[コメント] 私はあなたのニグロではない(2016/米=仏=ベルギー=スイス)

好漢ジェームズ・ボールドウィンの知的な弁論は鮮やかであり、本質を抉っている。彼を紹介したことで映画は役割を終えているだろう。不足感は読書で満たすべきものだ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







記憶に残った発言を幾つかメモ。

「白人が黒人を狙うのは復讐心からである」

「白人同様にジョン・ウェインに憧れていた黒人少年は、5歳から7歳頃にある日突然、敵役の先住民は黒人と同じだと気づく」

「マルコムXは聴衆に、自分の酷い生活を自覚させる弁論の才能があった」

テレビ討論で、誰もが孤独であり誰もが課題を抱えていると諭す教授に対して、私がパリへ逃げたのはアメリカにいたら殺される危険があったからだとの見事な反論。作家が何を書くかについての固定観念を打ち壊している。

ハリウッド映画についての薀蓄はとても興味深い。これらの特集上映などあったらいいのに。シドニー・ポワチエ作品を複雑に受け取った件など、とても興味深い。ただ、アニタ・オディとレイ・チャールズというふたつの世界は決して接触しなかった、との指摘は当時のもので、いまはカニエ・ウェストとテイラー・スウィフトが政治的にやり合う時代であり、この点、進歩しているのだとは思う。

メドガー・エヴァースをキング牧師・マルコムXと並列に扱うのもいい。ハリー・ベラフォンテが活躍するのは蒙を啓かれた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)irodori[*] けにろん[*]

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