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[コメント] 非行少女ヨーコ(1966/日)

東映っぽく訛ったヌーヴェルヴァーグで複雑な味がする。石橋蓮司が素晴らしい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作が東映時代の緑魔子の代表作なんだろう。ヒッピー族ないしフーテン族の生態を描いてあんまり過激に至らないのがリアルでいい。ラリッているのも睡眠薬だし仲間たちが最後は就職したりしてちゃっかりしている。「この娘可愛いから拾ってきちゃった」と緑魔子を紹介する城野ゆきが印象的。

ジャズスナック(と呼ばれる)の撮影がとてもいい。ワイドのキャメラを横倒しにして、そこからさらに倒して上下逆にして、ハイになって踊っている緑魔子がぺしゃんこに見えるショットが秀逸。「画なんか破っても何にも変わらないんだ、早起きしてラジオ体操でもしていればいい」などとブツクサ呟く寺山修司は映画自体を相対化すると同時に自分自身も馬鹿にしており、素晴らしい。馬鹿にされるためにだけ登場する戸浦六宏も素敵だ。

訛っているのはもっぱら収束で、大坂志郎中北千枝子佐野周二まで登場し(この全員が東映の俳優でないのがミソか)、若いふたりのフランス逃亡を祝福したりする。この祝福の動機がさっぱり判らず無理矢理感漂い空疎なんだが、何にせよヒッピー族の世代間の和解を謳う姿勢は東映的に美しい。谷隼人は硬すぎるが、この収束には彼も必要なんだろう。

逃避先のサントロペは『素直な悪女』の舞台だが引用される映画は違う。おそらく『悪女』を使いたかったのに諸事情で駄目になったのだろう。通して観れば岡田英次の件はいらなかったように思う。新宿三丁目「らんぶる」が格好いい昔の門構えで登場している。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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