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[コメント] 天空の蜂(2015/日)

湯原(江口洋介)の妻(石橋けい)の、醜いまでにゆがんだ怒り顔に尽きる!!!(マジでこわかった)。
capricorn1

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







湯原(江口洋介)の妻は、はじめから怒っていた。湯原が仕事ばかりで家庭を顧みないことが原因らしい。ステレオタイプの設定。「白石美帆も太ったなあ」と思いながら見ていた(石橋けいという人らしい)。その怒りが頂点に達するシーン。はじめは後ろ姿しか写ってなかったが、遂にアップになる。大画面に怒り顔がアップになる。「わあ、本当に怒ってる・・・」思わず引いてしまうくらい、その怒った顔は醜くゆがんでいた。

これは映画として×(バツ)である。怒った顔も美しく撮るのが映画である。しかも女優さんである。堤ユキヒコ、何やってんだよ。下手くそにもホドがある。得意の早撮りでOKしたのか。

見に行く前から、悪い予感はあった。強く誘われたから嫌々ついて行っただけ。なにせ、監督はあの堤ユキヒコである。凡打を打たせたら日本一の監督。面白いわけがない。

冒頭のヘリジャックはなかなか迫力があった。もう少し起きていよう・・・と思って、見続けていたときに、あの怒り顔のシーンがやってきた。ああ、ユキヒコ、やっぱりダメだ。下手だなあ。どうせ、子どもは助かるんでしょ。さあ、寝るか・・・。

しかし、私は寝なかった。寝るどころか、ハラハラドキドキしている自分がいた。子どもが助かるシーン(007ムーンレイカー)に感動する自分がいた。熱いものが込み上げてきて、自分でも、もうビックリである。

そのときに、初めて気がついた。湯原(江口洋介)の妻(石橋けい)の、醜いまでにゆがんだ怒り顔によって、私は、映画と言う虚構の世界の中に引きずりこまれていたのだ。子どもが死んだら妻はどうなる?妻の怒りは?いやいや見たくない・・・と無意識に思わされていたのだ。あの怒り顔で「足ドンドンドンはモールス信号だったのよ」と言われると、私まで責められてる気がしたものだ。タカヒコくん、気がつかなくてゴメン!

これらは堤ユキヒコに計算があってのこととは思えない。あの救出シーンに間の抜けた実況中継を入れるくらいだ(あれはいらなかったなあ)。では、功績は谷口けい?あのアップを採用した編集者?あのアップにゴーサインを出した堤ユキヒコ?うーむ、よくわからんが、タカヒコくんが助かって本当によかった。今でもそう思っている。映画なのにね。

堤ユキヒコを悪く書いたが、タカヒコくん救出と並行して描かれる刑事(柄本明、落合モトキ)の捜査過程の描写は冴えまくっていた。見せ方の手際の良さは「砂の器」の前半や黒澤明天国と地獄」の後半を思わせた。堤ユキヒコは、案外、松本清張ものを映画化したときに手腕を発揮するのかもしれない。「社会派推理」に特化してほしいものだ。

とにかく、堤幸彦さん、ごめんなさい!「天空の蜂」・・・とっても面白かったです!

(評価:★5)

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