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[コメント] ペイルライダー(1985/米)

「神がやらぬのなら俺がやる」。この「奇跡」は「わざわい」のようであり、「わざわい」は「奇跡」のようでもある。神を否定し、人ならざる力をふるい、死を執行し、交わらず、振り返らず去る孤独。厳しい物語である。
DSCH

**ネタバレ注意**
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聖職者のカラーと銃を等価のものとするカットに、血の裁きを求める世界への諦念が滲む。この諦念が撮影や劇伴に反映され、活劇のカタルシスよりも虚しさが先に立つ。天より低く、地より高く在る立ち位置と、採掘場で「十字」に組まれた足場を爆破するさりげないカットも印象的だ(彼は神の使徒ではなく神を否定している)。

「神がやらぬのなら俺がやる」という、「神の沈黙」への怒りを負って死を執行する「穢れた聖職者」。「また、斬らねばならぬのか」の作劇が『ダーティ・ハリー』的に厳しい。神でも人でもなく在ることを選び、死を執行して去る孤独。イーストウッドらしいと思う。

(評価:★4)

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