コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] GONIN(1995/日)

和製ノーカントリーの趣。皆が皆、成就後の事態好転を信じていないような、命燃やして死にたいという衝動が先行する。バブルの浮つきに反比例して沈潜した虚無と反動。時代的・風土的説得力は『トカレフ』の手触りに近いが、より観念的な撮られ方で、死より前から世界は黄泉の国に浸食される。空虚なネオンやディスコの照明と対比されるのが、死体にかかる虹。これが絶品。推しメンは問答無用で根津先生。合掌(涙)
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それほど珍しいテーマのものではないが、演出がとてもいい。この監督の映画を初めて観たけど、とても面白かった。長回しやスローモーションの挿入タイミング、編集のリズム、構図、音響、照明など、全てにおいて地のレベルがすごく高いように思う。勘ですが。

悲鳴などの前触れなく無音・無人になるレストランや、竹中と亡霊の交歓。ここの人の出入りは並みの恐怖映画を余裕で超える戦慄がある。錨と十字架をかけるところはやややり過ぎかも。

一方で、たけしは完璧な好演だが、演出上はもっと怖くできる。黒沢清の諸作品やアントン・シガーの造形を参照して、より純粋で観念的な死神化を目指したい。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)disjunctive[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。