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[コメント] 2012(2009/米)

仲良くいこうよ
ExproZombiCreator

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前半は物凄く面白かった。中盤で少しダレちゃうのも、緩急として悪くない。で、後半あたりで吊り下げられた動物が出てきて「ああ、宗教的なラストだな」と思って相当期待してたんだよ。まじで四点以上つけれる映画だと思ってたもん。

だけど船に乗り込んでからは期待外れだった。裂ける地面に落ちかけつつヘリに乗り込みビルに衝突寸前ってなダイナミックな画を観た後に、『ポセイドン・アドベンチャー』『タイタニック』まがいの画を見せられても、「んなもん地球がぶっ壊れかけなくても嵐が吹きゃ観られるシチュエーションじゃねーか」となってしまう。『ターミネーター2』まがいの歯車使ったサスペンスシーンとかどうでも良すぎるし、閉じかけの入り口の前で「●●だけは助けなくちゃ!」って言って、愛する人を助けようとするシーンも似たのがいくつかあるからこっちはとっくに飽きてるよ。同じようなシチュエーションが多いってのは、入り口前の場面に限らない。女による理想論的な選択を何度成功させたら気が済むんだよ。多視点にするのは良いけど、多主人公にしちゃうとこういう弊害が起きる。全ての人種、性別、年齢を楽しませようってのを下手に意識するとこういうことになる。せっかくなんだから先住民や障害者や同性愛者も出せっての。

ドラマの盛り上がりはヘリに乗るあたりまでが最高潮だったと思う。前半の家族関係の紹介はそんなに悪くないどころか、ベタだけど良かったと思うよ。その家族関係を活用したサスペンスも、船に乗り込むあたりになると、かなり弱くなってる。

普通、こういう映画は後半になるにつれ盛り上がるのに、なんでヘリに乗り込むシーンよりも劣る場面を最後に持ってくるんだろうね。順番逆にしただけで随分印象変わるよ。後半がやけに浮いてると思って映画観た後にネットで調べたら、この映画「脚本家が二人」いるんだよ。

そこが諸悪の根源だね、どっちの腕が良いのか知らないけど、ハラルト・クローザーってほうは本業が作曲じゃないか。『ハンコック』の悪夢が蘇ったよ。ねじれ国会じゃないんだから二人仲良くホンを書いてくれよって思うよ。『七人の侍』はあんな人数で書いてよくあんなにまとまった内容になったもんだ。ラストの「オムツはもういらない」ってのも、なんでだよって感じだよ。あんなとんでもなく怖い経験したら、むしろ悪化しちゃうと思うんだけどね。正常な大人でも夜尿症になっちゃうよ。

二人の脚本家の意見がかみ合わないんだったら、いっそ最後はわかりやすい悪役を登場させて、即興のスリラーにすりゃ良かったんだよ。「環境を汚したせいで地球が怒ったんだ。人間よりも動物を守る」とかいって、シーシェパードもどきが銃を乱射しちゃうって展開。最初にいた狂人が、実は生きていてそいつらの親玉だったとかね。んで、主人公サイドの女で犬を守ってたのがいたから、犬の取り合いをはじめるとかさ。人間相手に戦えばコミュニケーションを使った楽しませ方ができるから、前半とはまた違った質感が出る。同じ事の繰り返しで、しかも劣化版がくるのは一番やっちゃいけない。

一番馬鹿だと思ったのが最後に生き残る人数。こういう作品なら数人の主人公グループだけが生き残るか、全人類生き残るかのどっちかだろ。なんだよ船一基分のセレブってのは。「エメリッヒ見直した」って言われる絶好のチャンスだったのに、本当に勿体無い作品だった。

2010 11/7鑑賞

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)Orpheus ダリア[*] プロキオン14[*]

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