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[コメント] スペース カウボーイ(2000/米)

ハイコンセプトなB級映画という範疇のSO-SO映画
junojuna

 『ファイヤーフォックス』を踏襲した二段構えの物語構成である。成功法則であったのかリベンジであったのか、その真意は判らぬが本作の仕上がりはやはりパッケージ感覚の座りの悪い結果となっている。『ファイヤーフォックス』は航空映画、本作は宇宙映画とどちらも後半に作品のジャンルを規程する技術集約的なヴィジュアライズを見せるが、どうにもその頑なな作劇構造が、映画の経済的な事情を物語るようで旨くない。今回の舞台設定に用意された宇宙航空ステーションでの撮影はNASAの全面協力の下に行われた。また、宇宙空間をリアルに再現してみせたシーンはジョージ・ルーカスのILMによる仕事である。本作はこうした強大なバックアップを擁して創り上げられたジャンル映画となったが、おそらくイーストウッドはこうした不慣れなジャンル映画をものにするにあたって周到で効率的な制作を企図し、監督の手腕の評価となる制作予算以上に見える映画の作り方を実践した構成方法なのだろうと推測される。その意味では映画の外郭的な施しが巧みな仕事であり、内容はハイコンセプトな枠を手にした時点で勝利であり、ドラマそのものは水準を維持することで充分であった。しかし、そうした苦肉の策ともとれるプロダクションワークが見え透いてしまうと映画は飛翔しない。何事もバランス感覚が重要だ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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