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[コメント] ザ・ミッション 非情の掟(2000/香港)

チープな演奏で芸もなく反復されるテーマ音楽が却って作品の質向上に貢献するという香港映画マジックも炸裂しているが、基本的には真っ当に水準の高い演出で全篇が貫かれている。銃撃戦における空間把握にはもう少し明晰さがほしいところだが、それは欲張りすぎというものだろう。
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アンソニー・ウォンフランシス・ンにぶちのめされるシーンの、プールの水の影が青く揺らいで壁面を覆う画面はターナーキャット・ピープル』を想起させる。などというのは私のいつものいいかげんな戯言にすぎないけれども、しかしよい映画同士にはジャンルも時代も国境も越えて不意に手をつなぐ瞬間が訪れることがある、というのは映画ファンにとっては云うまでもない常識でもあるだろう。

ショッピング・モールにおける銃撃戦については、とりわけ「エスカレータ」の演出に感心した。サスペンスや活劇の舞台としての「階段」を持った映画は史上に多くあるが、エスカレータについてはあまり例が思い浮かばない。「高低」「傾斜」とともに自動的に「上昇/下降運動」を画面内に導入するエスカレータはあるいは階段と同等以上に映画的な装置になりえてもおかしくはないと思うのだが、それを使いこなすのはやはり相応に難しいということなのだろうか。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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