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[コメント] ヴェラクルス(1954/米)

バタバタと人が死ぬカネ本位の展開ながらも一抹のロマンティシズム漂う物語や埃っぽい画面は、後のペキンパー西部劇やマカロニ・ウェスタンの礎となったか。もっぱら利害関係に基づいた協力と裏切り。
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撮影面の特徴を挙げれば、速く正確なカット繋ぎ、ローアングルの多用、(意外と)豊かな色彩(特に宮殿でのパーティ・シーン)、といったところか。とりわけアーチー・サヴェージ(北軍制服の長身黒人)が祭りのダンサーとともに踊るショット群は、厭らしいほどにカッティング・イン・アクションの確かさを見せつけている。他にも平原を横一線となって疾駆する馬群であるとか、チャールズ・ブロンソンがパパイヤ娘サラ・モンティエルを襲う場面のカメラワークであるとか、アーネスト・ラズロの画面は強い印象を多く残す。

一方で、バート・ランカスターの野蛮なキャラクタは魅力的だが、彼一人が目立っていることが却って全体を喰い足りないものにしている感はある。ゲーリー・クーパーの敢えて一歩引いた立ち位置はまあよいとしても、アーネスト・ボーグナインらの扱いにはもう少し踏み込みがほしかったし、革命軍にももっと強烈なキャラクタがいてもよかった(革命軍が民衆の軍であるということを鑑みれば、あるいはその没個性性こそが意図されたのかもしれませんが、それにしては将軍が変に出しゃばってるんですよね)。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*] ぽんしゅう[*]

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