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[コメント] 海燕ホテル・ブルー(2011/日)

さすがに『千年の愉楽』もこの調子でやられたら敵わないが、若松劇団の真剣な滑稽味には中毒性がある。ライスカレーをスローで犬喰いしたり「愚かな人間たちー(棒読み)」など、ティーン時分の私だったら終日真似していたであろうシーンが満載だ。その通り、私はかつて学園一のひょうきん者だったのだ!
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空々しさが生々しい。寓話の体裁を持ちながら、未整理のまま投げ出されたイメージがそこから零れ落ちる。そしてどういうわけか、その零れ落ち方も含めてすべてが絶妙の按配に収まっている。考えれば考えるほどこのアクティング・ディレクションは実は完璧なのではないかという錯覚に囚われてしまう。

たとえどれほど苛酷な環境として現れたものでも、アメリカやニュージーランドで撮影された砂漠や荒野がどうしても「雄大」や「無限」の印象を与えてしまうことと対比すれば、この痩せた黒の砂漠の貧相な画面は日本映画に特有の風景と云ってもよいかもしれない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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