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[コメント] 赤線地帯(1956/日)

冷たく醒めきった画面は、しかし触れれば火傷をする。もはや笑うしかない出来事ばかりが繰り広げられるが、その笑いはいつしか引き攣り、やがて声を失った自分に気づくだろう。溝口健二は最期まで引き裂かれた映画を撮り続けた。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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三益愛子と息子入江洋吉の荒れ野シーンの厳しさは言語に絶する。続く三益の発狂演出のインパクトは『2001年宇宙の旅』のHAL9000のそれを優に超える。そして川上康子のラストカット。そう、女たちの地獄は続いてゆくのだ。しかし、それを衒いもなく「地獄」と云って事足れりとする私たちの安易さこそを溝口は糾弾している!

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)[*] いくけん[*]

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