[コメント] 西部開拓史(1962/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
あくまでも画面にこだわって見るならば、やはりフォードによる第三話が飛び抜けている。リンカーン(!)が登場するファーストショットからほとんど完璧な画面の連続だ。続くキャロル・ベイカーとジョージ・ペパードのシーンにおける気が遠くなりそうなほどに美しい空は、しかしベイカーの感情を反映してほんの少しだけ哀しみに染められているようにも見える。ジェームズ・スチュアートとベイカーの死を「墓石の数」で簡潔かつ決定的に見せてしまうあたりも震える。
ハサウェイのアクション演出も悪くない。第一話のウォルター・ブレナン率いる盗賊団と戦うシーンのちょっと間の抜けた感じは何とも面白いし(ブレナンらが棲む洞窟の造型や暗さもいい)、第五話では真っ当な工夫を凝らした列車アクションを見せてくれる。特に、撃たれて列車から振り落とされた男が背の高いサボテンと激突するところは最高。ただし、第二話でのデビー・レイノルズの歌からダンスに連なるシーンは(確かによいシーンだけれども)もっともっと幸福感が表出していなければダメだし、ハサウェイのパートは全般的にスクリーン・プロセスの精度が低すぎる。
備忘として各篇の監督と撮影者を書き留めておく。第一話“The Rivers”ヘンリー・ハサウェイ/チャールズ・ラング。第二話“The Plains”ヘンリー・ハサウェイ/ウィリアム・H・ダニエルズ。第三話“The Civil War”ジョン・フォード/ジョセフ・ラシェル。第四話“The Railroad”ジョージ・マーシャル/ジョセフ・ラシェル。第五話“The Outlaws”ヘンリー・ハサウェイ/ミルトン・R・クラスナー。
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