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[コメント] プレデター(1987/米)

中身は無いが、画のケレン味は良い。プレデター自体が何なのかよく知らないままに観たせいか意外と楽しめたが、何か騙されたような気分も無くもない。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭の、宇宙船から地球へ向けて、乗り物らしきものが発射される映像を除いては、序盤はごく普通にミリタリー物として進んでいく。時折挿入されるプレデター目線のショットも、何者かが赤外線センサーで一行を観察しているだけにも見え、人間以外の存在である事を明確に示さない焦らし方が巧い。シュワらが駆り出された真の目的が、軍の機密文書を回収する為であったという、ややミステリー的な雰囲気を仄めかしながら、途中からそうした人間的な事情など無視してSFアクションとして突っ走る強引さなども良い。

或る意味、この映画は最後まで、ミリタリー物に終始したとも言える。ただ敵が、テクノロジーを装備した首狩り族とも呼ぶべき、文明と野蛮さの凶悪な部分だけを寄せ集めたような、特殊な存在だという訳だ。で、そのプレデターは、最初は主観ショット、次に透明な姿、ヘルメット装備、素顔、という順で徐々に可視化されていくのだが、樹上でヘルメット姿をチラ見せしていた辺りが不気味さのピークであり、あとは安っぽくなっていく一方なのが残念。

追い詰められたシュワの前で仮面を脱いだプレデターの、今からお前を血祭りにしてやるぜ、といった調子で両手を構えて見得を切る仕種など、あまりにも特撮ヒーロー物に出てくる怪人風で、白ける。自爆直前の「ワーッハッハッハッ!」という哄笑に至っては、鑑賞中に薄々気づいていた、「自分は結局、驚くほど中身の無い映画を観ているんだ」、という思いにダメ押しされた気分。

見えざる敵であるプレデターの脅威に晒されていたシュワは、終盤、プレデターが可視化するのに反比例するかのように、泥でプレデターのセンサーを逃れ、夜の闇に光るプレデターの血痕を追い、「敵から見られずに、相手を見る」優位性を、プレデターから奪う。この、泥に身を包んだ兵士といい、水辺のジャングルを夜の闇に浮かび上がらせる、派手な火花といい、どこか『地獄の黙示録』を彷彿とさせる。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Bunge[*] ダリア[*]

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