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[コメント] ドント・ルック・アップ(2021/米)

なかなか強烈な皮肉と風刺のきいた、近来ではかなりユニークで真っ当な、そしてけっこう本気で科学しているSF。近頃の世相は、この映画のようなことは本当の世界では起きない、と言い切れないだけに少し怖い。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







科学者の知識と事実、根拠をともなった慎重な言い回しを、自分なりに理解した上で自ら判断する、よりも、理由も何も示されないが、かっこうだけはよく、そして短く決定的な断定に黙って従う方が楽、なのだが、それはどこに導くのか、わかったものではない、という怖さがある。

そのことを笑いにくるんで示している映画だと思う。

また本作のキーワードの一つに「査読」があると思う。これは、学術誌などに論文を発表する際、その論文を対象分野の他の専門家、研究者達が細かく点検し、検証、評価をする作業のことで、科学の世界では、査読を経て論文は発表されるものであり、だからこそ、最低限の信頼性が担保されているというルールがある。

大富豪が、思いついたように、宝の山の彗星を地球に無事、「軟着陸」させるために分割すればいいというアイディアを出した。それは本当に他の科学者達によって、実現可能かどうかが検証されているのかと、ディカプリオ演じる科学者は投げかけるが、それはあっさり無視される。

科学を軽んじる者が何をもたらすか、深く教訓とすべきではないだろうか。20年初頭から全世界を覆ったコロナ禍を例に持ち出すまでもなく。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] クワドラAS

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