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[コメント] 白雪姫(1937/米)

冒頭数分の美しさは、ただ事ではない。庭、階段の掃除をする白雪姫が白い鳩と戯れながら唄う。この肌理細かなカット割り。ドリー様の移動と、ポン寄り。キャラの柔らかな輪郭、それによる柔らかな動き。
ゑぎ

 井戸からエコー(こだま)が返るシーンの、井戸の底からの仰角アングルショット。その水の揺らぎの表現には唸る。なんて素晴らしいのだろう。また、王子の乗る馬の挙動の描画も、見事なのだ。

 さて、久しぶりに再見して、ちょっと驚いたのだが、白雪姫が森に追いやられ、小人たちと過ごす時日は、わずか1日なのか。動物たちとの小屋の片付け、ハイホーのシーンを挟んで、小人たちとの出会い、手洗い騒動、ダンス、各人の眠る様子を繋ぐ部分など、細部ばかりを描いて尺を取っており、プロットが前に進んでいるわけではないのだが、これが本作の豊かさでもあるだろう。例えば女王と白雪姫の絡みの部分は、ほんのワンシーンだけだし、王子はピンポイントの登場だけの役割で、プロット展開は急所のみ、短いシーンで表現されているが、細部の描写の豊かさで、全体の満足感は高いのだ。

 女王の造型も見応え充分で、老婆へ変貌するための薬を作り、飲む場面のイメージ処理もいいし、老婆になった女王が、小人たちに追いかけられて、雨の中、岩山へ逃げて行く場面も凄い画力だ。老婆の黒いマント、黒い木、黒い鳥(ハゲワシ?)が実に効果を発揮している。

 最後にキャラの印象を備忘も兼ねて書いておくと、白雪姫はオカメ顔。「いとはん」を演じる京マチ子みたい、と思いながら見た。それに対して女王の厳しい表情が好き。こちらは、ジョーン・クロフォードのようだ(調べると、やっぱり、モデルだったとのこと)。あと、小人の中の、おとぼけ(Dopey)は、まるで、ハーポ・マルクスですね。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] DSCH

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