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[コメント] 大地の子守歌(1976/日)

ちょっと原田美枝子の演技というか存在が勝ち過ぎている。勝ち過ぎているというのはどういう意味か。それは増村の画面造型に対して、ということだ。彼女を見ているだけで、メチャクチャ面白い映画だ。
ゑぎ

 彼女の奇蹟的と云っても良いぐらいの存在感も、勿論、増村の仕事(ディレクション)だ。でも、これだけ演者の存在が強くなると、それに拮抗する画面を希求してしまう(増村だから、ということもある)。しかし全体として、その期待に応えてはくれていないと思えるのだ。

 とは云え、冒頭、山の道をウサギを持って駆け下りる原田を繋ぐ部分から、藪の中の藁ぶき屋根の家や「ばば」の見せ方なんかは既にかなり力のある画面だし、中盤は特に「おちょろ船」の描き方が見事だと思う。画面が負けている、とまで云うと、云い過ぎになるのも確かだ。しかし、一番がっかりしたのは、度々挿入されるお遍路さんのシーン。これはテンションの持続を甚だ妨げていると感じた。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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