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[コメント] 盗まれた欲情(1958/日)

今村昌平は最初っから桁違いの図太さがあった。日本映画史の中で忘れてはならない傑作。喜多道枝香月美奈子武智豊子といった女優陣のバイタリティも大したものだし、西村晃高原駿雄小笠原章二郎らの「雄」の情けなさも胸を打つが、長門裕之の「永遠を見た人」の表情が何と云っても忘れがたい。
ゑぎ

 ラスト近く、長門裕之が二枚目役・柳沢真一に事の次第を話に行こうとするシーン。舞台で柳沢が一人扇子を持って舞の稽古をしている。ドリーでカメラが長門に寄る。長門のイメージで鏡獅子の舞台シーンが挿入され、現実に戻ってドリーで長門からカメラが下がる。この演出は何度見ても素晴らしい。何度見ても呆気にとられる。猥雑なシーンが続く中でのとびっきり豊かな時間の演出。映画は「時間」だ。「時間の演出」なのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] 町田[*]

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