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[コメント] ノイズが言うには(2010/日)

映画撮影の映画。そういう意味でメタ映画だが、ちょっとその内容は、恐るべき試みだと思える。まず、小田香の帰郷に際して、友達が車で迎えに来ており、車中の会話シーンから始まる。女子トイレのオバチャンの話など。
ゑぎ

 序盤は、実家(父の家と母の家の二つの実家)での様子が、ホームムービー(当然ノンフィクション)っぽく収められているが、小田本人が映る手持ちカットもあるので、撮影担当者がいるのだろうな、と思っていた。ところが、ある時点から、序盤の様子も含めて、台本があり、父母や姉たちは、台本通り演じられていたのだ、ということがバラされるのだ。撮影担当者についても、小田本人だけでなく、お姉さんもカメラを回している。だが、その映像も撮影されているのだから、やはり、もう一人が撮っているのだ。

 上に、父母や姉たちは、台本通り演じられていた、と書いたが、実は、それさえ、不確かな物云いだ。その台本自体が、小田の現実に即しており、小田の現実に対する、父母や姉たちの現実(の反応)との差異も極めて僅少だと思えるからだ(しかし観客には真実は分からない)。いずれにしても、母親の反応(演技)が、とても面白いことは確かだ。フィクションならばステレオタイプだが、ノンフィクションでもあるという意味で、複雑な感動を呼ぶ。あと、何度か登場する友達のキャラも、優しくていい。

 尚、撮影テクニック的な面では、ホームムービーのレベルに近く、構図の決まり具合は、まだまだだと思う。それと、タイトルのノイズは、物理的な雑音の意味かと思っていたが、そうではなかった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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