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[コメント] ミスター・ガラス(2018/米)

全体がもうほとんどジョークのような映画だ。設定や世界観に文句を付ける気はなくなってしまう。笑わせる、ということで云えば、当然ながら、ジェームズ・マカヴォイが一番笑わせる。彼だけで、ずっとニヤケながら見たが、正装したサミュエル・L・ジャクソンのルックスも笑う。
ゑぎ

 いや、もっと些末な部分、例えば、最初に監禁されている4人の女の子がみんなチアの格好をしているのも、ほとんどジョークのようなものなんじゃなかろうか。画的に面白いから選ばれた設定、というだけなのだろう。クライマックスも話の帰結も、壮大なのか、ミニマルなのかよく分からない世界観だが、結局、馬鹿力2人の対決というだけじゃないか、と思えてくるのも、なんだか愉快になる。

 また、画面造型については、相変わらずキューブリックばりの冷え冷えとした画面で満足感が高い。病院の遠景のシンメトリーなカット。ピンクの壁の広い部屋に3人が集められるシーン等、美術の趣味もいい。照明(Light)と光、水や鏡といった反射物、監視カメラやモニターなどの道具立てへのこだわりも、見応えのある画面の造型に寄与する。そんな中で、マカヴォイとレーザーサイト(赤外線照準器)の赤い光、ウィリスと小さな水溜まり、という予想に反した小さな道具立ての強調が皮肉にも胸を打つ。あるいはアニャ・テイラー・ジョイの現実離れした真摯な対応も、愛を信じて疑わない、シャマランらしさと感じて、感動する。

 ただ、マカヴォイは、前作ほどの爆発的エネルギーは感じられない。前作で驚かせてもらい過ぎた。前作にあった未曽有の恐怖の創出を超えることはかなり難しいし(そう、我々はもう見てしまっているのだから)、だからこそ、出し惜しみせず、開巻すぐに、ビーストを登場させもするのだが、しかし、ビーストはもっともっと怖くていい。

#オオサカタワーの扱いも肩透かしだが、大阪を宣伝してくれたのは嬉しい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)死ぬまでシネマ[*] けにろん[*]

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