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[コメント] 007 スペクター(2015/米=英)

前作『スカイフォール』の強烈な画面、超絶撮影(照明)技巧とどうしても比べてしまい、がっかりする場面が多い作品だ。そんな中で、良いと思った場面を先に書くと、まずは、オープニングのシーケンスショットは目を瞠るものがあった。
ゑぎ

 舞台がメキシコシティということもあって『黒い罠』のオープニングを思い起した。カットが変わってからのビルの崩壊や、死者の日の凄い群衆シーンにも驚かされ、本作も、つかみは悪くないと思った。あとは、中盤の砂漠を走る列車のカットぐらいか。もう少し正確に書くと、列車内での格闘シーン、クレイグとレア・セドゥの荒々しい抱擁カットがあり、それに繋げて砂漠を行く列車の大俯瞰カットを持って来る流れがいい。

 あとは、ちょっと不満の残る出来で、アクションシーンの造型や脱出場面のご都合主義なども指摘できるが、不満の一番は、悪役としてのクリストフ・ヴァルツの怖さの演出が全然足りない点だろう。前作のハビエル・バルデムに比べても小モノの感覚を持つ。バルデムのモチベーションも小さかったが、本作のヴァルツについても、対ボンドの部分は私怨、しかもスペクターの首領がこれかよ、と思わせるものなのだ。また、実を云うと、私には、レア・セドゥがイマイチ魅力的に思えないのだ。役柄の要請もあるが、ほとんどずっとしかめっ面。チラッと笑顔を見せても渋い顔に見える。前半に出てくるモニカ・ベルッチもそうで(寡婦になったばかりの女性の役だからしょうがないかも知れないが)、女優の扱いについても不満が残る。

(評価:★3)

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