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[コメント] アイアン・ホース(1924/米)

フォードらしい構築力を感じさせる叙事的なシーンと叙情的なシーンを緻密に構成した傑作サイレント映画だ。フォード29歳の作品だが、後の騎兵隊三部作や『静かなる男』のコメディパートを遥かに予期することができる。既にフォードらしい喜劇的資質が開花していることを確認する。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
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 また何と言っても全編に亘りパースペクティブな構図がしっかりしていて唸らされる。字幕の台紙に綺麗な絵(多くは風景や静物のカット絵)がついているのも、スタフ全体の丁寧な仕事ぶりを印象付ける。

 ヒロインのマッジ・ベラミーはちょっとリリアン・ギッシュに似ていてサイレント映画が好みそうな可憐な可愛らしさ。ヒーローのジョージ・オブライエンは映画が始まって45分ぐらい過ぎたところで登場する。これが乗馬しながら汽車に飛び乗るという印象的な登場シーンになっている。また、ヒロイン・マッジ・ベラミーの婚約者を演じるシリル・チャドウィックという人がこれもサイレントらしい、いい悪役の面構えで嬉しくなる。特筆すべきコメディパートはやっぱり、主人公に見方をする鉄道の工夫で「三銃士」という字幕がある3人が引き起こす騒動だろう。床屋兼歯医者での騒動など。或いは「liar(嘘つき)」と呼ばれて殴り合いになる部分は、このようなシーンを多くの西部劇で見た気がするが、喧嘩が始まる前の周囲の期待感を映し取る間合いが後の『静かなる男』などを想起させる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ジェリー[*] ナム太郎[*]

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