その後、ヴィゴ・モーテンセンとマリア・ベロとその子供達の、インディアナ州のスモールタウンを舞台とした生活描写になるのだが、冒頭の二人の男の再登場とモーテンセンへの絡ませ方も見事なのだ。

　並みの映画なら、この前半の充実を中盤以降さらに超えるのは至難と思われるが、本作は、エド・ハリス、ウィリアム・ハートをそれぞれシーケンシャルに登場させ（要するに逐次的投入で）、興奮を持続させるのだ。エド・ハリスもウィリアム・ハートも実に楽しそうに演じている。有刺鉄線で潰された左目を持つハリスの図太い造型はいつもながらの面白さだと思うが、ハートのキャラクターは出番は短いが、意外性があっていい仕事だ。

　全般にきめ細かなカット割りも見応えがある。２回ある濡れ場（ベロがチアの格好をしたシーンと、階段途中でのＤＶまがいのシーン）のカッティングなんかも見事。エンディングの夕食場面の緊張感も出色の出来で、テーブルについた人物のバストショットが尋常じゃない強さなのだ。