もしこのサイトが無かったら見なかったであろう作品。でもこのサイトがあったからこそ、この映画の評価がどうしても高くなってしまうのも事実。やはりこれだけの人数から不思議なほど高い評価を得ている作品だから、低く見れない。

面白いとは思う。

でもこの映画に５点は付けられない。これは僕の映画に対する姿勢の違いのせいかもしれない。僕が映画を見るときは、笑いよりも楽しさよりも感動や驚きを求めるせいかもしれない。笑いというのは普遍的っぽく見えて、実はそうでもない。日本だけには「ジョーク」というものの存在が確認できなかったという発表もあったぐらいである。

僕はアメリカンジョークが好きではない。

この映画は質の高いアメリカンジョーク的コメディ映画だと思う。程度の低いブラックユーモアに終始してないところに大きな好感を持つのだが、笑えない。ヒーローなのに今は落ちぶれて、町のサイン会などを巡っている、その設定がこのコメディへの入り口だと思うのだが、僕はその入り口の手前で立ち止まってしまった。

日本的笑いの「間」がほしかった。

リズムがまったく変わらなかったせいかもしれない。この映画のようにアクションで笑いを取ろうとしない場合、キャラだけで笑わせようとする傾向が海外のコメディ映画にはある。しかし笑い先進国（たぶん）の日本ではもっと多くの笑わせ方が発明されている。その１つが「間」である。これは芸人だけでなく、今人気の演出家たちも多用している（堤幸彦など）。その高度なテクニックに見慣れてしまってるため、僕はこの映画の根幹のコメディ部分に冷めてしまった。

この設定の映画を日本で作れるなら、もっと面白くなったはずである。