自分はＯＶＡ『機動戦士ガンダム/ポケットの中の戦争』が大嫌いである。『太陽の帝国』のあからさまなパクリであるあの作品によって、作品が新しく作られるごとに新しいガンダムが生まれ出でてよい、という不文律ができあがり、今や全ての「ガンダム」と呼ばれる機動兵器の名を挙げられるファンはきわめて僅かである筈だ。

そしてこの映画は、第二小隊とパトレイバーがすみっこに出ていれば『パトレイバー』の続編をいくらつくってもよい、という不文律を作ろうとした。その罪がクリエイターよりはむしろスポンサーサイドにあることを考えれば、高山監督にはいささか可哀想なことを言ってしまったが、その体質に対するパトレイバー・ファンのせめてもの抵抗手段があるとするならば、この作品を完璧に黙殺することだ。

スポンサーの横暴を許容したところからも傑作が生まれる可能性はある。だが自分の観たかぎり、この作品を傑作と呼べる要素は全く見出せない。凡作であり、なおかつ（生理的な嫌悪感ぐらいしか）オリジナリティが感じられない作品には、前掲の対抗手段が最良の方法だと考える。