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[コメント] 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022/日)

必要以上にさまざまなプロフィルを持たされる登場人物、キャラ設定にそぐわない人物の階級や信念などの見直し(漫画THE ORIGINからやられていたことだが)描写を盛り込んでいったのは嬉しかったが、戦士たちの惨殺描写と子供たちのほのぼのとした「名作劇場」的描写のブレンドはちょっと辛い。安彦監督、少々焦ったか。
水那岐

年配の声優(古谷、古川、池田といったところ)による若人演技の限界。安彦監督の演出力のダウン。前述のハードな戦場描写と子供たちのほのぼの描写、さらに頂点に立つ大人の腹の探り合いという、ターゲットがどの世代か判らぬエピソードの合体技。安彦監督はこういう様々な要素の組み合わせを、おそらくもう揃わないオリジナルキャストやスタッフが集結するこの作品を前に、すべてこの場でぶちまける覚悟で詰め込みまくっている。

それは仕方のないことだろうが、果たして、こうやって誕生したキメラ的にいびつな物語を、すべて理解するファンがどれだけいるだろうか。富野監督よりもそのあたりに未練のあったろう安彦さんは、もはや終わりとした「安彦ガンダム」に、実は言い足りないことが溢れている現状に焦っていたのではないだろうか。失礼ながらもう安彦氏の語り手であり、絵描きでもあるアーティスト人生は終わりに近いだろう。この映画は見苦しすぎた。さすがにここは嫌な「ヤマト」にならって若いスタッフに物語を任せるべきだろう。

またもこの安彦さんの至言を引用する。「今はもうそれぞれのガンダム」。

(評価:★3)

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