[コメント] あずみ(2003/日)
ケレン味とハッタリの極致。未熟なる上戸彩の胸中にはきっちりとした人間の業が刻み込まれている。04年の目指されるべき時代劇はある意味これではないだろうか。
たけし『座頭市』の享楽殺人、真田『清兵衛』のサラリーマン殺人のふたつが、03年を代表する時代劇のカタチのように巷間語られているようだ。『あずみ』上戸もまた使命に従って闘い、血みどろになって勝利を手にする。だがその切迫感は前二者など比ではない。
娯楽作品としてしか存在し得ないこの作品だが、その底に日本の観客が忘れようとしている「業」がある。殺人のカタルシスを語るように見せかけて、あまりにも哀しい剣戟しか見えてこないのはそういうわけだ。
世界に羽ばたいてゆくサムライ伝説が綺麗事ばかりになっている今、自分としては『あずみ』を推したいし、海外にも観てもらいたい作品の一本に数えたい。
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