[コメント] SUPER 8 スーパーエイト(2011/米)
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ストーリーの詳細を伏せた宣伝方法もあって、肩すかしを食らったと感じる観客もいると思います。確かに、「よく出来たプロットだね〜」と唸らせるような映画ではないが、良い意味で荒唐無稽なところがすごく面白かった。要は、映画自体が”子どもの発想”をベースに作られてるような気がして、そういうところになんだか愛おしさを感じてしまいました。
子どもたちが8ミリカメラで映画を撮る、という設定。これがポイントですよね。エンドロールで彼ら子どもたちが撮影した映画が放映されてニヤリとさせられるが、そもそもこの映画自体も、映画マニアの監督J・J・エイブラムスが劇中の子どもたちと近い目線で撮ったように感じられたのだ。だから、映画の本編も、エンドロールの劇中劇も、どちらも立ち位置は同じなんですよね。
それもあって、「良い意味で荒唐無稽」と言いたくなるのです。子どもたちなら、脚本の構成とかよりも、自由な発想をどんどん詰め込んで、そういう映画を作っていくのかな、と。この映画の終盤、理由の説明に苦しむくらい矢継ぎ早にいろいろなことが起こるし、家族の物語としても人間模様をじっくり描いたりする丁寧なドラマ性はない。もう、子どもが頭の中で広げている冒険劇を、最低限のポイントだけ抑えて、一気にガーって詰め込んでしまったような。
その上でそこにスピルバーグ的要素を散りばめてくるので、この映画はシネマフリークには絶対ウケる。終盤の急展開はスピルバーグ映画のダイジェスト版のようなのだから。絶体絶命の主人公と地球外生命体の通じ合いは、相手の大きさの違いはあれ『E.T.』へのオマージュだろうし、『インディ・ジョーンズ』『プライベート・ライアン』『宇宙戦争』など、冒険活劇に戦争映画にSFにと、いろいろなイメージが含まれているように思えた。
この『SUPER 8』は、スピルバーグの作品を見て育った監督が、そういった王道エンターテイメント要素をごちゃごちゃに詰め込んで、大人になった今、子どものときの夢を叶えたような映画なんだと思う。根底にあるのは、映画への愛なのでしょう。そういう映画には、やはり好感が持てます。
公開直後はシネマフリーク中心に鑑賞される映画だと思うけど、『E.T.』や『スタンド・バイ・ミー』のように、長らく少年少女たちにも観られていく作品に育っていくことを期待しています。
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