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[コメント] 女囚さそり 701号怨み節(1973/日)

さそりの「怨み」はもっと鋭くて重い「純然たる怨み」だったはず。男がどうだとかなんて1作目でとうに通り過ぎている。それを「転向した運動家」なんて矮小なテーマとくっ付けて、挙げ句に恋愛模様ですか。俺が怨んでやる!
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 映画としては、伊藤俊也監督の前3部作よりもかなり「まとも」になっていると思います。セットや背景、演出もノーマルだし、テーマも見えやすい。「70年安保闘争後」と同時代性も高い。

 ただですねぇ、だからってさそりまでノーマルにするなと。さそりに同時代性とかを持たせようとするなと。このシリーズは、人間が根源的に持つ復讐の欲求を訳の分からないパワーで描き切っちゃうから面白いんです。そのサイケデリックな力が、図らずも「70年代」という同時代性を保ってしまっているのがいいんです。

 それをやれ恋愛だレモンだと四畳半フォークみたいな話に押し込めようとするから、さそりがどんどん普通の女性に近づいてきちゃった。結局この監督が描きたかったのは、さそりじゃなくて田村正和の方だったんだろうなぁ。

 その辺りで言うと、後半の刑務所シーンはまだ脚本がさそりに没頭できていたと思います。ただそれでもやっぱり監督は田村正和が描きたかったんですよ。本来のさそりだったら、細川俊之の周りの悪刑事とか女刑務所長とか皆殺しのはずだもの。丸くなったもんだ。

(評価:★3)

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