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[コメント] エル・スール −南−(1983/スペイン=仏)

監督自身は、この映画を不完全で残念な結果に終わったと語っている。私も同様にそう思う。それは、
SY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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それは、娘が「南」に実際に行き父の生涯を追体験することによってはじめて、このストーリー全体が深い意味を持つからだ。

予算の都合上、ぎりぎりまでねばりながらも、泣く泣く後半の「南」部分を撮影することを断念する経緯があったようだが、監督の無念は本当に推し測られる。

長距離電話の領収書など、「南」での娘の行動へつなげるための色々な伏線がはられているが、(その後に物語は続くはずだったのだから仕方が無いのだけれども)それらが伏線のまま自己完結しているところが非常に惜しい。その舌足らずさが観客のイマジネーションを刺激し、この作品の神秘性や叙情性を深めているという意見もあるだろうが、私はあえてこの点を芸術的手法と呼ぶには足りないのではないかと言いたい。

しかしながら、不完全と言うにはあまりにも美しく叙情的で静かな作品。素晴らしい出来。何を撮ろうがビクトル・エリセ監督の繊細なまなざしは不変である。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)tredair ペペロンチーノ[*] kiona[*] chokobo[*] ナム太郎 くたー[*]

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