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[コメント] まぼろしの市街戦(1967/仏=伊)

 戦争が幻なのか、おとぎ話が幻なのか、そのどちらもがある夢の世界。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この映画全体に漂っているやさしい、悲しい、暖かい空気はすごく好き。でも、戦争というものを映像、文書でしか知らない私は、いわゆる「平和ボケ」した私は、この映画に満点をつけられない。

 彼と私の最大の違いは「戦争を体験しているか、していないか」だろうな、たぶん。この映画の公開当時は、今の私がいる状況より戦争、終末感が身近にあったのかもしれない。でもいくら想像しても、きっと実際の体験には追いつかないと思う。まあ、私の想像力が貧弱なのもあるのだろうけれど。

 あのラスト、とても素敵だったし、この映画にはそれしかないだろうと思う。でも、現実に戻ってきて欲しかった。

 普通の映画だったらきっと戻ってくるだろう。彼が戻ってきていたら、「普通の映画」として私は忘れてしまったかもしれない。戻ってこなかったからこそ、「恐ろしい非日常」としての戦争が浮かび上がってもいたし。でも、やっぱり戻ってきて欲しかった。

 なんだか置いていかれてしまったような気がした。映画を見て、非日常を体験した気になっても、そんなことはなくて、普通の生活に戻っていくだけの私は、彼に私と同じように帰ってきて欲しかった。それでこそ、「彼はあの夢みたいな世界を胸に頑張った、私もがんばれるかも」と思えたかもしれないのに。

 すごく野暮で我が儘で勝手だけれど、これはちょっと譲れない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)sawa:38[*] レディ・スターダスト[*] けにろん[*] OK[*] 蒼井ゆう21[*] tkcrows たかやまひろふみ[*] ボイス母[*]

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