正直､「この映画､分らん奴には絶対に分らん！」と思った｡でも、この映画が分るってのもどうなのだろう？

女性のほうがやはり理解度が深まるものなのだろうか?いーや！俺にも痛いほど伝わってきた｡ひどく孤独な映画だ｡孤独｡孤独｡こんな映画が存在しているとは思いもよらなかった｡こんなに孤独な映画を目にしたのは（また引き合いに出してしまうが）『鬼火』以来のことだ｡

特に前半部が素晴らしすぎる｡グレン・クロースの章なんて殆ど相手の占い師が一方的に話しているだけのように表面的には見える｡だけど非常に深いものが有るのだ｡恐ろしいほどの行間｡行間､つまり演技だ｡まさに「彼女を見ればわかること」だと思う｡

観客に多くを委ねる映画だ｡ここまでなら他にもいろいろ行間を読ませる作品は存在するのだろう｡本作は加えて、観る者の心からからどれだけ多くを《引き出せるか》に重心がある｡観客の共感度､一体化度（つまりどれだけ心が動いたか）が極めて重要な映画なのである｡

鑑賞後､ぎゅうぎゅうに詰まっていた印象を受けた。何故なら俺が行間を全て埋めてしまったからです｡