[コメント] 蜘蛛女のキス(1985/米=ブラジル)
この映画はロールキャベツだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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まずウィリアム・ハートという「挽肉」の周りには柔らかくしなやかな「キャベツ」が巻かれている。このキャベツとはホモセクシュアルな演技をさす。更にキャベツには濃厚な「トマトソース」=(相手との駆け引きの演技)がからまっているのだ。牢屋という鍋でぐつぐつと煮られているジューシーな映画である。
幾重にも演技が重なっているのだ。《ウィリアム・ハート》《モリーナ》《ゲイの男》《看守のイヌ》・・・。これらの境界線はひどく曖昧で殆ど区別がつかない。単一的な表層とは反対の、混沌とした「人格」。「演技すること」に対して強く意識させられる映画だと思う。とりあえず妖艶すぎるウィリアム・ハートは巧いのだろう。恐れ入った。彼はモリーナという複雑な人間の機微を要求以上に応えている。あたかもその人物が実在するようだ、とか、他の出演作を観てもこの作品の印象が頭から離れない、といったコメントをつけるのにぴったりの演技だと思う。
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