何も出来ないんだ、そう思った。もし、今、同じようなことが世界のどこかで起こっていたとしても。それが「その価値がない」国であれば、この日本で大きく取り上げられることもなく。そのことについて知る可能性は限りなく低いし、知ったとしても胸を痛める以外に一体自分に何ができるんだろう？自分の無力さを感じて心が痛くなった。これでは、ルワンダの状況に胸を痛めつつホテルを去った外国人たちと何の違いもない。

自分がこの場にいたら？当事者だったら？傍観者だったら？そう思いながら映画を見てた。久しぶりに見た「痛い」映画だった。「シンドラーのリスト」も内容で言えば同じようなものと言えるかもしれないけど、自分にとっては全然違う。同じ事実だとしてもうける感覚が違う。それはきっと1994年というのが、自分にとって身近な時だから。紙の上で学んだ歴史ではなく、自分が存在していて、それと同時にそのことも存在していて。それは1994年のことだけではなく、今現在もあることかもしれなくて。世界のどこかでは今日もそうなのかもしれない、そう思ったらすごく痛かった。そんな人がいて。自分はここで当たり前の平和に慣れきっていて。けれど、何も出来ないし、知ることすらないのかもしれない。そんな当然の事実に、今さらながら衝撃を受け、痛みを感じた。

これが単に「泣ける」映画だったら自分にとって★５にはならない。映画としての面白さもありながら、こういう感覚を味わわせてくれる映画は、ひさしぶりだったので。