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[コメント] ホテル・ルワンダ(2004/伊=英=南アフリカ)

「す、すごい映画を観てしまった」と素直に思う。ドン・チードルは今現在最も尊敬できる黒人俳優です。で、彼の奥さん役の女優さん、『イーオン・フラックス』の「脚が手の女」と同一人物だということに、パンフ買うまで気づかなかった。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







実は久々に映画のハシゴをしまして、それが『ミュンヘン』『シリアナ』そして『ホテル・ルワンダ』という、目いっぱい[濃い]三映画、そしてすぐ翌日には『クラッシュ』『ブロークバック・マウンテン』。去年と今年のアカデミー賞関連作ばっかり、そしてすべてが「娯楽性0」。ちょっとキツかったけど、充実していた二日間。

それぞれが、おのおの問題提起をしていた。この映画においてもそうなんだけど、不謹慎ながら「映画として」楽しんでしまった。少し自己嫌悪を感じているが、正直な感想。そう思った後で、『ロード・オブ・ウォー』と『ブラック・ホーク・ダウン』の二本を思い起こし、自分は勉強不足だったことを痛感したので、パンフを買ってルワンダの現状をすこしは整理できた。

映画を見ている最中に脳裏に浮かんだ映画は『ティアーズ・オブ・ザ・サン』。この映画の中で、大量虐殺が行われるアフリカの国から、ブルース・ウィリス率いる部隊が、アメリカ人医師(モニカ・ベルッチ)「だけ」を助けるために潜入したのに、命令に背いて結局難民たちまで救い出そうとするお話。こっちはあくまでも映画の中のお話だけど、本作で大雨の中、外国人神父「だけ」連れて行ったのが現実なんだなと痛感。

実は最初にこの映画のことを聞いたとき、ドン・チードル演じる主人公が、ホテルに難民と共に、軍隊や民兵達と戦いを繰り広げ、なんとか守りきった!というような「ヒーロー映画」を想像していた。ところが、現実はとうとう銃の一発も撃たずに守りきった。主人公ポールが誰も居ない部屋でふと泣き崩れるシーンがとても印象的だ。実在する主人公ポール本人は、「この映画を通じて、ルワンダで起こった出来事が、すこしでも知ってもらうことができれば、それでいい」のだと。泣きそうになった。

そして主人公を演じきったドン・チードルに最高の敬意を表します。彼はこの映画と『クラッシュ』をほぼ同時期に撮影している。それもスゴイ。

欲を言えば、もう一つの主人公の「ホテル」。玄関前と入り口道路、そして館内が少しと、屋上。どれもが「部分」であったので、「ホテル自身の全景」を見せて欲しかったりした。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)水那岐[*] スパルタのキツネ[*]

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