つまりこの映画も観客の最大公約数（テキトーにモテて、テキトーにモテない層）相手の商売なわけだ。そこはハッキリと断言したい。この映画は寝言です。

ブリジットにとって、この世では恋愛（或いは結婚）することだけに価値があるかのようだ。愛する相手を思いやることよりも、「自分が恋愛している状態にある」ことが彼女には大切なように見える。恋愛がしたいから恋愛をする。結婚したいから男をつかまえる。モテないオレが言うのもなんだが、それは恋愛じゃあないんだよな。

でも彼女は最後までその価値観のまんま、誠実ふうな男を手に入れてキスしてハッピーエンド。これが本当のハッピーエンドとはオレにはとても思えないのだが、ブリジット本人にとっては間違いなくハッピーエンドである点が腹立たしい。ヒュー・グラントとグダグダな付き合いを続けるという選択肢もあった筈だし、そうすることが彼女にとってとりわけ不幸なこととは、オレには思えなかった。なかなかゴキゲンなダメ男だったじゃないか。ブリジットは、彼の下世話さを軽蔑できるのだろうか？　ブリジットだって、下世話に男の品定めを楽しんでいたのではなかったのか？

ブリジットは、冒頭からラストシーンまで何も変わらない。少しでも自分を省みてほしかった。そして、少しでも自分より相手のことを思いやってほしかった。自分のために半裸で雪の街を走ることくらい、ズバリ言って誰だってやれるよ。オレなんかタバコ買いに行く時でもできるよ。いつ何時でもやれるよ。ナメちゃいかんよキミ。