近親相姦をひょんな折目撃し、僅か一人にその事実を洩らした為に１５年の強引な被独房生活。その１５年という歳月が我が娘の成長（性長）を待つという意味合いだった。いやはや仕掛けるほうもなんと根気のいることか。

すべての事実を知った主人公が、我が娘へのネタばらしを嫌ってワンワンペロペロとしもべに成り下がる様はその時は理解できなかった。１５年に及ぶ理不尽な禁固の復讐はどうしたんだよと、そんなことがわかったら自爆承知で仕掛け人と刺し違えてやれっ！て怒りが沸き起こってくるのではないかと。

でも解った。主人公はもう後戻りできないほど、やり直しなんかできないほど、我が娘を女として溺愛してたんだなと。非常に熱く一体感を実らせたベッドシーンに、既に解答は出ていたんだよとも受け取れる。まあ、全くもってインモラルだが、それを経験した者だけにしか到達し得ない禁断の精神世界もあるんですよと、何故かバックに連なる雪山たちが静かに語りかけているようなラストシーン。この余韻の残り方は好きだ。

まあ、娘がブスだったらありえん物語だがね。