１シーンが無駄に長い。特に序盤の病院での一連のシーン。あんなに長かったらだれてしまいます。話に魅力があるのに見せ方には魅力が無い。

この映画は無茶苦茶で、意図しているのかは知らないが見事に破綻している。でも、この破綻具合は十分許される破綻具合。チャールズ・マンソン気取りのジェネシスとか言うアホな奴（つーか年齢３４歳ってぉぃ・・・）、グロテスクと言うよりもコミカルな自殺シーン、延々と続く鮮血と不気味な子供の声、興味本位の人々、インターネット、アイドルグループ、そして「自己」という存在に関する哲学・・・

と、色々な物を詰め込んでは適当に並べただけの映画。見事なまでに前半と後半は全く違った映画に見えてくる。

前半はマジに作られたのなら「スリラー／ホラー」に分類されるのだろうけど、俺にはコメディにしか見えなかった。「私死にまーす！」「ハイハイ、私も死にまーす」って、てめーらアホか？つーかあの学校の屋上からノリで自殺していく奴らによって「いつもの日常」が「血と肉の海」になる。このシーンは一体何と見ればいいのだろうか？コメディだろ？

冒頭のプラットホーム５４人同時飛び降りや、この学校からのノリでの飛び降り自殺に関してはギャグにしか見えない。血が飛び散り、肉片が散乱する。包丁で大根を切りながら自分の指を切断していく主婦や、「それじゃ、行って来る」とか行って窓から飛び降りていく看護婦もギャグにしか見えない。悪趣味なセンスで固められたブラックユーモアにしか見えない。これ、ホラーなのか？何処が怖いんだ？おまけに、その悪趣味自体もたいした事ない。毎度毎度血と肉が飛び出すだけ。

しかし、黒田捜査官の自殺から話は急展開し、哲学的になる。「他者との繋がりは明確。では、アナタ自信とアナタの繋がりは？」と言う、上手く説明できないけど何となく分かる問いかけを観客に振り掛ける。

しかし、だからどーしたんってんだ！！！

そんなんじゃ群発自殺の動機の何の説明にもなっちゃいない。ホント、やりたい放題な映画だなぁ、これ。

自殺のグロテスク描写も、何かイマイチ物足りない。血を飛ばして肉を飛ばして、と工夫が無い。コメディに演出するのならブラックコメディらしく、ホラーとして演出をするのならそれ相応の演出をしろ。これじゃ中途半端極まりない。

俺は自殺シーンの度に大爆笑していたぞ。前半部分は真面目に作らずに好き放題やりたいシーンを繋げただけだろ？

後半の哲学的な問いかけ自体は結構面白いな、とは思ったけど映画としては破綻しているのでどうかと思う。主人公も誰が誰だか分からないし、視点もコロコロと変わっていく。

色々鋭い所を着いている後半部分だとは思うけど、作品全体通して言えるのだけど、テンポが緩い。話自体は興味をそそられるのに、演出が下手糞なのか知らないが、１シーンが無駄に長い。もっと手際よく編集してスピーディに展開させる方が良いと思う。

前半の「ノリで自殺」と言うよくわからん感じと、死と生が曖昧な世の中、と言うか「リアルな死」に囲まれすぎた故に「現実の死」をノリでやってしまう、って感じだろうか？でも、どうしてそれが蔓延しているのだ？て思うけど、そういうのは「突っ込まないで下さい」って奴ですかね？

けどまぁ、何はともあれ、一応かなり深いテーマを含んでいるとは思う。描き方は合ってても、見せ方（演出）を間違ってる気がするけどあ・・・

所で、黒田捜査官自殺の時にかかってきた電話の内容。まるで「他人に思いやりをもてない奴は死ね」見たいに言ってる感じだったけど、（この群発自殺の黒幕？）ガキ集団こそ死ぬべきじゃないのか、と思ったりもするのだが・・・

でもね、「勝手に生きろ」という（架空の？）アイドルグループ「デザート」の言葉には納得できねぇ。っていうか、こいつらの歌自体納得できない。下手糞じゃん・・・

なんか書いててもよくわからないレビューになってきている気がするので、これだけ。どーせ真面目に考えても納得できない様な映画だろうから。