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[コメント] 天国の青い蝶(2004/カナダ=英)

全てに於いて中途半端な演出。無駄なファンタジーがbased on true storyの説得力を殺いでしまう反作用。下手糞なのでは? 2004年10月18日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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based on true storyの強みは何と言っても「分かっていても泣ける/感動する」と言う奴で、先日みた『スクール・ウォーズHERO』だって、ベタベタのご都合主義的な展開をしていても、全編通してボロ泣きと言う凄まじい作品だった。あれは単に演出が上手かった、と言うのもあるのだけど、だけど「実話」と言う一種のジャンルは、やはり他のどのジャンルよりも特別な位置にあるはずだ。

この作品の事実はとんでもない。森に青い蝶を採りに行った少年が、帰ってきたら脳腫瘍(劇中でcancerと言ってたけど、同じ意味なんですかね?)が消えてた、なんてとんでもない話だ。

でも実話なんだよ。

だから、実話の強みと言う物が発生するのだけど、最後までファンタジーで押し切ってしまうこの作品はどうにも下手糞としか思えない。例えばそれは終盤、画面をキラキラ光らせたCG技術であったり、場面ごとにベタであろうとも盛り上げる演出が出来ていなかったり、と言う所で、リアリティを次々に削いで、作品をファンタジーに押し上げてしまった。

結果、どれだけ実話だと言っても、説得力がなくなっている。ってまぁ、ここで「コレは全て事実だ!」と開き直られたら、こっちも反論の余地は無いのだけど、別に俺は実話を見に行った訳じゃなくて、映画を見に行ったんだし。

そういう点で考えるとやっぱり退屈な映画だな、と思う。熱帯雨林の自然や、先住民(?)の近代的なのと古来からが入り混じった生活様式、そして実話の強みにおんぶに抱っこの作品で、中身はスカスカのパー。

三種三様のキャラクターを設定しておきながら細かい部分の伏線を回収しきらない粗さに、結局の所少年自身も、学者の方にいたっても、心理描写が中途半端と言うか何と言うか。ついでに終わり方も唐突で、本当に「奇跡」と言う非科学的な物を過信した手抜きの展開。アホらしい。

もしそれが作品から外せない要素なら、相応の説得力を持たせるだけの演出をしなければならないはずだ。CGで画面キラキラ光らせるなんて逆効果にしか思えない、俺は。

結局画面で何かが起こっている、程度の認識以上の物を得られない結果に終わる。この手の作品は感情移入させてナンボではないだろうか?

それから、落とし穴に落ちた学者と少年。少年は学者を放置して森を歩き回る(そしてここでアホらしいCG劇場が始まる)。なんか、あれだけキャラクターを固定させた学者(と母親)だが、結局最後の最後は軽々しく扱われてしまっているのを見ると、悲しくなった。

一緒に鑑賞した彼女は、虫のアップになるたびに目を背けていた。この作品を見に行った人の殆どは別に虫が見たくて見たんじゃないだろう。森の自然を見たくて見に行った人は居ても、虫は予告編じゃ強調されていなかったし。

虫嫌いの人が最後まで頑張って見ても、結局この程度の出来なら、くたびれ損と言う物。

(評価:★2)

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