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[コメント] 007 カジノ・ロワイヤル(2006/米=英=チェコ)

今までのシリーズ20作品をキレイさっぱり清算したことは、英断でもあり暴挙でもある。願わくば、ダニエル=ボンドが次回作でも殺しの許可証を持っていますように・・・。
茅ヶ崎まゆ子

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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シリーズの原点に立ち返ったとは言え、ここまでキレイさっぱりと今までのシリーズを白紙化したことに、正直驚いた。ガジェットも出なければ、Qもミス・マネーペニーも不在。007シリーズのシンボルとも言うべき”ガン・バレル”すら無いのだ。

これだけの伝統をばっさりと切り捨てたからには、製作サイドには相当の自信があったとみえる。事実、この最新作は非常に完成度が高い。

テーマはずばり、ジェームズ・ボンドの成長である。粗野で無鉄砲な荒削りの諜報員が、いかにしてエレガントでスマートなプロフェッショナルになったのか。観客はリアルタイムでそれを目撃するのだ。そのプロセスは感動的ですらある。

ダニエル・クレイグはそれを見事に体現して見せた。エヴァ・グリーンやマッツ・ミケルセンも質の高い演技を見せる。マーティン・キャンベル監督の演出には強いメリハリがあり、”動”と”静”の切り替えがうまい。『女王陛下の007』以来の、2時間24分という長尺をまったく飽きさせない。

しかし、もっとも肝心なのはダニエル=ボンドの第2作である(2008年11月公開予定とのこと)。歴代ボンドの例を見ても、主演第2作で初めて観客から支持されたかどうかが明らかになるのだ。それを見ないことには『カジノ・ロワイヤル』の正しい評価は出来ないかもしれない。

(評価:★5)

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